滋味ゆたかな、優しいおやつ
2026.02.19
ひとくちかじると、素材の⾵味が⼝の中に広がる焼き菓⼦。
⻑野県松川村で、藤丸さんご夫婦が営む「じみじみおやつ」を取材しました。
素材の味を残すためのヴィーガン
北アルプスの麓、安曇平に⽥園⾵景が広がる松川村。「じみじみおやつ」さんの店舗は、村の静かな住宅街の⼀⾓にあります。
こぢんまりとした温かみのある店内には、かわいらしい型抜きのクッキーや⽣菓⼦、クラフト作家さんの作品が並んでいます。
2013年に東京都から移住して、⼆⼈三脚で菓⼦店を切り盛りする藤丸さんご夫婦。
お菓⼦作りは奥様の担当で、卵やバター、乳製品、⽩砂糖などは使⽤せず、黒豆きなこや味噌など安曇野産中⼼の⾷材を使⽤した「地味だけど滋味豊かで素朴な味わいのおやつ」をコンセプトにされています。
そもそも、じみじみおやつの商品は、移住前に旦那さんが営業マンとして働いていた時期に、「お腹がすいたときに」と渡していたお菓⼦が原点。愛情のこもったお菓⼦が美味しくないはずがありません。
「お菓⼦の主原料は⼩⻨粉で、⼀部⽶粉を使ったものもあります。使う素材は、地元の農家さんを応援したいという思いで、できるだけご縁でつながった⽅のものを使うようにしています」と、奥様。
「あの農家さんと知り合いたいな」と思っていると、不思議なことに⼈から紹介されたり、たまたまマルシェでご⼀緒したりすることがあるのだそうです。
⼈との出逢い、ご縁から⻑野県松川村へ移住
藤丸さんは、初めから移住を考えていたわけではなく、これといって⼤きなきっかけがあったわけでもなかったそう。
安曇野の⾵景が好きで、⼆⼈で旅⾏に訪れ、たまたま泊まったペンションのオーナーさんに地元のいろいろな⽅を紹介してもらい、ご縁とタイミングが重なって、⼆⼈で移住を決めました。
安曇野の、⽔や空気が美味しいと思ったこと、そしてこの地で収穫された⾷材も他のものとは違うと感じたこと。
そんな中で、それまで趣味で続けていたお菓⼦作りをここでなら仕事にできるのではないかと考えたのだそうです。
「松川村の特産品の⿊⾖が気に⼊り、このきな粉を使ったお菓⼦を作りたいと思ったことも⼀つのきっかけですね」と、奥様。
きなこだけでなく、リンゴやかぼちゃ、杏やぶどうなど、その時期に旬の⾷材が使われたおやつは、⾝体にもやさしく、とても魅⼒的です。
じみじみおやつさんは、店舗での営業の他、委託販売やイベント出店も⾏っています。
出店情報はInstagramで更新されていますので、ぜひ訪ねてみてください。
藤丸さんへのインタビュー
お店の⼿作りの看板がステキですね。ハイカラな店名の由来は︖
(藤丸さん)
看板は夫が作ったものです。元々、DIYが得意だったわけではありませんが、いまでは廃材を使った⽇曜⼤⼯に凝っています。うちの庭の⼿⼊れもほとんどが夫の仕事です。
じみじみおやつのお菓⼦は、おしゃれでもきらびやかでもありません。
”地味”ですが、”滋味”ゆたかな素材を使って、その味を残すようにしています。
店名は⼦どもでも読めるひらがなで、⽿なじみの良い⾳にしました。⼤々的な宣伝も⾏わず地味に営業していますが、低空⾶⾏で10年以上になります(笑)。
卵や乳製品を使わない理由は︖
(藤丸さん)
卵や乳製品を使わない⼀番の理由は、その⽅が素材の味が残っておいしいと思ったからです。
ライフスタイルとしてのヴィーガンにこだわりがあったわけではありません。なので、ヴィーガンをうたった販売はしていません。
それに、当店のお菓⼦は、万⼈受けするものではないと思います。
中には、「あまり⽢くないんだね」と⾔うお客さんもいますし、スーパーのお菓⼦を⾷べ慣れている⼈にとってはおいしいと思ってもらえないかもしれません。
お店を始めた頃は、あまり⾃信がなかったので、誰の⼝にも合うものを作ろうとしていました。でもある時、全部のお客さんに対応しきれないということに気づいたんです。
ですからいまでは、うちのお菓⼦を気に⼊ってくれているお客さんの顔を思い浮かべながら作っています。
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お店とクリニックとでは違いますが、お話を聞いて共通するものがあるように感じました。
それは、お店とお客さん、医師と患者さんの間には、前提として共通する価値観が必要だということ。
すべての⼈に受け⼊れられなくても、理解してくれる⽅のために精⼀杯取り組むということです。
⾃然体で飾らない奥様が作るお菓⼦には、その優しい⼈柄がにじみ出ているようです。
お話を伺って、⼈とのつながりを⼤切にしながら、ていねいにお菓⼦作りをされていることがとても印象的でした。
これからの時代は、こうした本物が残っていく世界になるのではないかと感じています。
□ 商品ラインナップ
・焼き菓⼦
・⽣菓⼦
・クラフト作品