松本で愛される⼩さな⾷堂が紡ぐ、やさしい世界
2026.03.19
松本市の街なかにある、たった6席の⼩さな⾷堂。扉を開けると、ホッとするような温もりのある空気に包まれます。
今回は「アルプスごはん」さんを訪ねました。
原点
アルプスごはんは、フードユニット「つむぎや」の⾦⼦健⼀さんが営む
カウンター6席だけの⼩さな⾷堂です。
ご縁のある地元農家さんのお野菜や調味料、⽇本各地の繋がりのある作家さんの器で料理を楽しむことができます。
⼿仕事の器に盛られた、⾦⼦さんの⼿料理は、⼀品⼀品がていねいで⾃然な野菜の彩りが⾷欲をそそり、その優しい味わいに⼼も体も満たされます。
⾦⼦さんがお店を始めたのは9年前。⾦⼦さんご⾃⾝は横浜市のご出⾝ですが、松本市出⾝の奥さまと将来を⾒据え、家族で松本に暮らすことを考えていたそうです。店舗はもともとブックカフェ「栞日」があったところで、そこで料理教室を開いていた⾦⼦さんに、オーナーの菊地さんが声をかけたのが開業のきっかけでした。
「ただ料理を出すだけでなく、そのうしろにある物語を伝えたい。⾷べることは⽣きることに直結するので、若い⼈たちにこそ味わってほしいです」と、⾦⼦さん。
料理に使う野菜は主に地元農家さんから仕⼊れ、⾜りない分は直売所や知り合いの⼋百屋さんで調達されているとのこと。
⾦⼦さんの料理の背景には、器づくりの作家さんや地元の農家さんなどの⼈とのつながりがあります。
2025年1月のアルプスごはんプレート⼼を動かす料理の⼒
⾦⼦さんは学⽣時代に和⾷店でアルバイトをし、調理師免許も取得。大学卒業後は広告のコピーライターとして働きますが、3年半で退職。28歳からパン職⼈として新たな道を歩み始めました。
ベーカリーでの仕事もしつつ、男性⼆⼈組のフードユニット「つむぎや」を結成し、料理を通じて人と人をつないだり、「おいしい!」や「たのしい!」時間を紡いでいく活動もスタート。
料理研究家としていろいろな媒体にレシピを提供し、「ぱんぱかパン図鑑」(扶桑社)、「お昼が一番“楽しみ”になるお弁当」(すばる舎)、「和食パスタ100」(主婦と生活社)など著書、共著多数。料理雑誌『オレンジページ』での連載は5年間続いたそうです。
次第に生産者さんとつながることができたり、二拠点ではなく松本で家族と共に暮らしたい、お店という「場」をつくりたい! とやるべきことが明確になった頃、ご縁をいただき、アルプスごはんを始めることができたそうです。
「アルプスごはん」は地元の信州⼤学の学⽣さんにも⼈気です。
お店を昔から応援してくれている⽂化⼈類学の先⽣が授業で紹介したことがきっかけで、学⽣さんが訪れるように。最初は友⼈と⼀緒に来店し、次はひとりで訪れるといいます。
⻑期休暇には親御さんが会いに来て、「ここの料理は美味しいから⾷べてみて」とすすめられて来店することもあるそうです。
「ある時、⼥性が料理を⾷べながら涙を流していたんです。どうしたんですか? と聞いたら、
『ジャンクフードばかり⾷べていたうちの⼦が、このような料理を美味しいと思えるようになったのね』って。
そんな場⾯に⽴ち会えることなんて、普通はなかなかないじゃないですか。
お店という⾃分の場があることで、いろいろな出会いがあるんですよ」
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松本という街の良さを、⼈と⼈との⼼地良い距離感だと話す⾦⼦さん。
このお店の魅⼒も、お客さんと作り⼿が対話できる近さにあるように思います。
器も盛りつけも空気感も、すべてが「アルプスごはん」の世界。⾦⼦さんの料理には、つくり⼿の温かい思いや愛が詰まっています。
□ 商品ラインナップ
<モーニング>
・朝のアルプスごはん
(10月〜6月 おはよう水餃子)
・つむぎやの黒カレー
<ランチ>
・アルプスごはん
・デンマークのライ麦パン「ロブロ」のプレート
・つむぎやの黒カレー
・デザート