ひと粒のカカオ⾖から⼀枚のチョコレートへ

2026.02.05

⼀⼝かじると、カカオ⾖の豊かな⾹りと⾵味が感じられるチョコレート。
安曇野市を拠点に、チョコレートの製造・販売を⼿掛ける「bean to bar chocolate 茶菓」さんを取材しました。

bean to barという製造スタイル

 
茶菓さんは、「bean to bar(ビーン・トゥ・バー)」というスタイルで、⾃⾝でカカオ⾖を仕⼊れて、原料からチョコレートを作っています。

bean to barとは、「bean(カカオ⾖)」と「bar(板チョコレート)」という名の通り、カカオ⾖から板チョコレートまでを⼀つの⼯房で⼀貫して⾏う製造スタイルのことです。

その先駆けとなったのは、1990年代後半にサンフランシスコに登場したチョコレートブランドで、それ以降全⽶に広がり、⽇本でも2010年代半ばから「Bean to Bar」は、広まり始め、2010年代後半には広く知られるようになりました。

チョコレート
チョコレートラインナップ

原料はカカオ⾖ときび砂糖のみ 作り⼿の顔が⾒えるチョコレート

茶菓さんでは、オーガニック認証を受けているカカオ⾖を厳選して、お店でカカオからチョコレートを作っています。
原料はカカオ⾖ときび砂糖のみで、動物性のものや乳化剤、添加物は使いません。
そのため、クリアなカカオの味をダイレクトに楽しめるのが最⼤の特徴。
主原料のカカオ⾖と砂糖は⻑野県産というわけにはいきませんが、安曇野には安⼼安全な⾷材を扱っている⼈が⾝近にいるのがよいところ。

「bean to barに正解はないので、⾃分がおいしいと思うものを模索しながら作っています。
たとえば無農薬のアンズを作っている⽣産者さんから仕⼊れて、そのドライフルーツをトッピングしたりしています」。

チョコレート作りは、カカオ⾖を軽く洗い、焙煎するところから始まります。
茶菓さんでは⾖の状態で焙煎するため、砕いた状態で煎る時の倍の時間が必要であるだけでなく、個体差もあるので、焙煎度合いの⾒極めは簡単ではありません。
次にカカオ⾖を粉砕して、⽪と⾖を分けます。⽪を取り除いたものはカカオニブと呼ばれ、チョコレートの原料になります。
ちなみに、外⽪の部分もカカオティーの原料として使います。

カカオニブをすりつぶし、砂糖を加えて混ぜ合わせ、練り上げたものを温度調整して、型に⼊れて寝かせます。
温度調整の⼯程はテンパリングと呼ばれ、この作業は会社員をしているご主⼈の担当。
最初の⼯程からチョコレートができるまでには、少なくとも1週間かかります。

しかし、茶菓さんのていねいな商品づくりには、毎回のマルシェ出展を⼼待ちにしていたファンも多くおられました。

2025年12⽉からの新たな出発

カカオの⾼騰(「カカオショック」とも呼ばれる)は、⻄アフリカの異常気象と病害による記録的な不作が主な原因で、2024年に史上最⾼値を更新し、チョコレートの価格⾼騰や品薄を引き起こしました。
2025年に⼊り供給回復の兆しで⼀時落ち着きましたが、まだ⾼騰前の⽔準には戻っておらず、農家の廃業や⽣産地からの転作も進み、⻑期的な供給不安が続いています。

茶菓さんでは、そのような事情も考慮し、2025年11⽉でマルシェ中⼼だった営業スタイルを変更予定。

茶菓の定番だったドライフルーツをたくさん使った板チョコや季節商品などは少しお休みし、シングルオリジンのチョコレートのみをていねいに作り続けていこうと考えておられるそう。

2022年よりマルシェでスタートした茶菓でしたが、
今月30日のあがたの森でのマルシェをもって
一旦マルシェの参加は終了し、
来年度より、母が営んでおります
gege_marugeにて
店舗での販売に切り替えさせて頂くことにいたしました。

ひとまずは12月の金曜日に短時間ですが営業を検討中で、購入していただいたチョコをその場で召し上がっていただいたり、カカオティやホットチョコレートを楽しんでもらえるような、小さなカフェスペースも設置予定で現在母と相談しながら進めています。
Instagramより抜粋

美味しくて、ていねいな作りの⾄福のチョコレート。
コンビニで⼿軽に買える商品とは、まったく別物であり、想いのこもった1枚の作品のようなチョコレートは、ぜひ読者の皆様にも味わっていただきたい逸品です。

カカオ豆
自家製チョコムース

店主の方へのインタビュー

チョコレートを作り始めたきっかけは︖

チョコレートの製造・販売は、安曇野で⾻董品店を営む⽗が8年前に始めたものです。
⽗はどんなことにも熱⼼に取り組む性格で、⼈と同じことをやらない⼈でした。
当時は東京などでbean to barが流⾏り始めた頃で、まだ周りで⼀貫⽣産のチョコレートを販売している⼈はいませんでした。

そんな⽗が5年前に亡くなると、⽗のチョコレートのリピーターに応えるために、⺟がお店を継ぐことに。
⽗のレシピでチョコレート作りを始めたものの、体調を崩してしまった母から私に少し手伝ってほしいと打診があったのです。

製造や販売で苦労するのはどんなところですか︖

マルシェでは⼝頭で説明しながら販売していましたが、⽇本ではチョコレートを安く買える⽂化があるので、グラム単位で計って販売するスタイルに抵抗を感じる⽅もいます。
⼀般的に売られているチョコレートは、植物性油脂などを⼊れて味が均等になるように作られていて、⼤量⽣産が可能です。
⼀⽅、私が作るものの原料はカカオ⾖ときび砂糖のみで、⼤量⽣産できない分単価も上がります。

bean to barはまだ⼀般的なものとは⾔えませんが、作り⼿がもっと増えて認知されるようになれば、⽣産者と消費者のギャップは少なくなるかもしれません。
⼀昨年9⽉に東京のbean to barのイベントに私自身の勉強のつもりで行った際には、他の出店者とも知り合うことができて刺激を受けました。

✎ ───

bean to barのチョコレートは量産品に⽐べ⾼価ですが、お話を伺うとたくさんの⼿間と時間をかけて作られていることがわかります。
また、⾷べるものは⾝体を作る元になります。作り⼿の顔が⾒えるチョコレートをこうしていただけるのは貴重です。
茶菓さんのチョコレートはシンプルな材料だからこそ、素材の⾹りや⾵味が際⽴つ美味しさ。安⼼していただけますね。

 

 

□ 商品ラインナップ

・チョコレート
・焙煎カカオ⾖
・カカオニブ
・カカオティー

商品写真

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