【イロイロこばなし】〜栄養相談日記6「糖尿病Ⅰ型患者さんへのレシピ(油のお話)」

2024.02.02

こんにちは、山岸です。

糖尿病Ⅰ型のAさんは、糖質とあぶらを制限したワンパターンの料理を作るのがストレスになっていたそうです。Aさんは中性脂肪やLDLコレステロールがとても低く、摂取したカロリーがエネルギーとして消費され、ホルモンや細胞膜などの材料になるコレステロールがつくられる充分な量を摂れていないように感じました。

糖尿病の方はコレステロールの酸化による血管病変のリスクがあるので、抗酸化アプローチをしながら、体に良い方向に働くあぶらを少しずつ摂ってみることと、なんでも食材を美味しくする「ギー」を使って調理してみることを提案しました。

糖尿病の方におすすめのあぶらの1つは、MCTオイルやココナッツオイルなどに含まれる中鎖脂肪酸です。一般的なサラダ油よりも4倍早くエネルギーに換えられ、活動を持続させるための効率の良いエネルギーを確保できます。

青魚に含まれるEPAは、中性脂肪やLDLコレステロールの低下、血栓をつくらせないようにする、身体のいろいろな炎症を抑えてくれる物資に変わって炎症から守ってくれるなど血管病変に良い働きがあります。EPAは酸化しやすいので、お刺身で食べることやアーモンド、アボカドなど抗酸化作用のあるビタミンEが多い食材と摂ることがおすすめです。

 

ギーはバターを沸騰させ、水分と不純物(タンパク質や乳糖)を取り除いたオイルで、短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸が多いので、効率良くエネルギーに変換され、活動エネルギーとして使うことができます。また、抗酸化作用のあるビタミンA、Eを含み、体の酸化を防ぎます。

ギーで野菜を炒めると、油の馴染みが良いので少量のオイルで済み、焦げにくく火の通りも早く、野菜がシャキッと色鮮やかに仕上がります。なんと言ってもコクのあるミルクの香りが、素材をとても美味しく仕上げます。

私はギーをフライパンに溶かして野菜を置き、蓋をして中火弱で途中返しながらオイル蒸しにし、仕上げに塩麹を絡めたシンプルな野菜炒めをよく作ります。きのこやナッツを加えたり、いろいろな野菜を組み合わせたり、ギーを使うとお肉やお魚も美味しく食べれます。

Aさんもギーを使うと、簡単な料理がとても美味しくなると、食事の楽しみが出て喜んでおられました。

 

写真はアレッタと舞茸をギーで炒めた塩麹オイル蒸しです。

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