大人の愉しみ酒器の種類
2019.12.17
様々な酒質の日本酒があるように、それに合わせられる酒器も種類が豊富。
日本酒の種類はもちろん、料理やシーンによって使い分ける。今日の気分はどんな酒器で一杯飲みますか?
酒器選びは大人の愉しみ
日本酒ほど多彩な酒器が揃うお酒はありません。様々な形状・素材・色の酒器をどう使い分けるか。日本酒をよりおいしく味わうための先人たちの知恵。こちらでは代表的な9種類の酒器をご紹介します。
チロリ
酒を温めるための金属製の器。湯の中に入れて温めるもの。
グラス
ガラス製の器は主に冷やして飲む際に使用。ワインを飲むようにワイングラスを使用するのもおすすめ。
猪口(ちょこ)
陶器、磁器などがあり、元来は本膳料理で少量の料理を盛るための器。江戸中期から酒器として利用されている。
平盃
大きく口が開き底の浅い「さかずき」の名称。古代からこの形状はあり、特に祝いの席に用いられてきた。
ぐい呑み
「ぐいっと飲む」という言葉が由来と言われ、平盃に比べ口が狭く猪口より大きいものを一般的に指す。
POINT
・男性の持ち方
片手で器の口元を持ち、薬指、小指でそこを支える。肘を張って持ち、男らしさを演出。
・女性の持ち方
指を揃えて器を持ち、逆の手をそこに添える。口が広い盃を持つと手が綺麗に見える。
蕎麦猪口
元々の用途は猪口と同じ料理の器。江戸中期頃から蕎麦つゆに使用され、酒にも使われるようになった。
片口
小鉢の先に注ぎ口があるもので酒を訳あって飲むときに使用する。陶器、漆器など素材は多種に及ぶ。
徳利
首が細く下部が膨らんだ酒を入れる容器。「お銚子」は本来別物で酒宴や結婚式などで用いられるものを指す。
POINT
間違った注ぎ方に注意!
徳利を逆手で持って酒を注ぐのは葬式などの不祝儀の作法。
宴会などの酒席でこれをすると非礼なので注意
枡
本来の役割は計量器。酒を量り売りするときなどに用いられた。樽やますは木の香りを楽しむときに用いる。
日本酒の酒質によって酒器を使い分ける
日本酒の酒器はさまざまな種類があり、シーンによって使い分けができます。
日本酒は酒質に合わせて酒器を選ぶことで、よりおいしく飲むことができるんです。
いつものお酒をどんな酒器で飲むのか、ちょっとこだわりたくなりますね。
コクのある純米酒を飲むなら…
「ぐい呑み」や「片口」を使用する際におすすめするのはコクのある純米系の日本酒。
ぐい呑みや片口は、日本酒を注いでから、すべて飲みきるまで時間がかかります。
ゆっくり日本酒を味わうときに楽しみたいのが、温度によって変わる日本酒の味わいの変化です。
冷えた状態から常温に上がると、口あたりや香り、旨味の感じ方が変化していきます。あつ燗からぬる燗と、燗酒の温度が下がっていくときも同様です。米の旨味があるコク深い純米酒や、生酛(きもと)系の日本酒は、さまざまな温度帯で味わいの違いを楽しめます。
吟醸酒を味わうときは…
小さめの「お猪口」&「グラス」がおすすめ。
吟醸酒や大吟醸酒は、華やかな“吟醸香”が特徴の日本酒です。10度~15度が香りを楽しみつつスッキリと飲める温度帯です。小ぶりのお猪口や小さめのワイングラスであれば、温度変化が少ない状態で楽しめます。華やかに広がる香りをより楽しみたい場合は、口径の広いタイプを選びましょう。
また、ワインと同じように注ぎ方次第で純米酒も驚くほど味に変化します。
・装着して注ぐ
瓶の注ぎ口と厚みが変わり、出る量と空気の触れ方が変わるのでよりシャープな味わいに。
・傾けて沿わせる
グラスを傾けてスーッと静かにお酒を沿わせるように注ぐと、ふんわり優しくて綺麗な味わいに
・ソムリエ注ぎ
普通に注ぐときよりもやや上からドボ殿と勢いよく注ぐことで空気が含まれ、しっかりとしたボディ感が際立つ
酒器にまつわる豆知識
デキャンタ使いも
日本酒もデキャンタで軽く振り空気に触れさせると、ぐっとまろやかに。荒々しさを感じた酒にはこの方法を実践。
錫マドラーでステア
錫には液体の浄化作用があると言われている。材質を問わず、マドラーでステアすることで味わいがまろやかになる。
番外編:飲み口で味変する不思議なグラス
創業83年を迎える東京の下町にある木本硝子が手がける「Brume盃(ブリュムさかずき)」という猪口は、五角形の飲み口によって5つの味が楽しめるという面白い酒器。飲み口となる五角形それぞれの口径の角度を絶妙に変えることで酒の流動性が異なり、旨みの多い日本酒は口の広い部分で飲むと香りと甘みがより一層強く感じられ、口の狭い部分で飲むにはアルコール度数が高い日本酒が最適なんだとか。