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愛感謝の酒蔵を訪ねて
〜大信州酒造豊乃蔵樽場詰め 潜入レポート〜

よく晴れた冬の日。大信州酒造豊乃蔵(長野県長野市)では、酒屋さんと日本酒を愛する常連客を招いてのイベントが開催されました。
近年稀に見る暖冬の中、令和初の酒造りが進められていました。
今回は、OSAKE監修の高橋先生とOSAKE編集部が参加してきました。

大信州酒造 豊乃蔵樽場詰め

【スケジュール】
13:00〜 受付及びきき酒開始
13:15〜 開会式
13:35〜 精米所・酒づくりの現場見学・樽場詰め
15:20〜 甘酒振る舞い・閉会式

生産者を大切にする大信州酒造

2020年 1月26日、大信州酒造豊乃蔵で開催された「豊乃蔵樽場詰め」に当サイト監修の高橋先生と編集部が参加してきました。

樽場(ふなば)とは、日本酒を造っているお蔵のなかで「酒を絞る場所」のこと。
昔は酒を搾る器具が船に似ていたことから槽(ふね)と呼び、この場所を「槽場」と呼んだそうです。

「しぼりたて」と書いて販売されているお酒は数多くあるものの、搾ってから販売店を通じて私たちの口に入るまでには、どうしてもある程度の日数と処理が入ってしまいます。本当の搾りたての旨さは蔵人のみぞ知る「蔵の感動」なのだそう。
(味見と言って、2人で1升くらい簡単に飲めちゃうらしいです)

その本当の日本酒の美味しさを周辺の酒店の店主が自らお蔵に赴き、その場で搾ったばかりのお酒をご予約本数のみ瓶詰めにして最短日数で常連さんにお届けする、というのがこのイベントの主旨。

今回は、豊富な日本酒の品揃えで知られる長野県中野市のぜんこうじやさん[店舗サイトへ]のご協力のもと、こちらのイベントに潜入させていただきました。

今回で最後…豊乃蔵での酒造り

長野市豊野にあるこの仕込み蔵で長年開催されてきたこのイベントですが、ここで行われるのは今回で最後。それもあって、多くの酒屋の店主と大信州ファンが集まりました。
いままで、大信州の酒造りは、仕込みは豊野蔵、仕込み水の採取、瓶詰め・貯蔵は松本と分離していましたが、今後は一つになり、酒質の向上に繋がることも期待されています。

まずは、大信州の味をそれぞれ味わわせていただきます。大信州のお酒は、フルーツのような華やかな香りが鼻からすぅーと抜け、その後に旨味やコクがやってくる雑味の少ないお酒という印象を持っていた編集部。

「香月(こうづき)」純米大吟醸、「大信州」純米大吟醸、辛口特別純米、手の内(純米吟醸)・・・こうやって飲み比べてみると、それぞれの銘柄により味わいに差があることがわかりやすい。そして、柔らかい仕込水はすぅっと身体に入って消えてなくなるようなイメージ。とても優しいお味です。

酒蔵の中でも稀。精米を自社で行う意義

開会式は、精米所の中で行われました。
豊乃蔵でで、酒造りを取り仕切るのが常務取締役製造部長の田中勝巳さんのユーモアあふれるトークで、今年の酒造りの進み具合に関しての報告や、精米の説明が行われました。
県内に酒蔵は多くあれど、精米を蔵の中で行っているのは7蔵しかないのだそう。
長野県内の10軒の契約農家が栽培する「金紋錦」や「ひとごこち」などの原料米を農家ごとに自家精米し、蒸して仕込むことで、農家さんごと(お米ごと)のお酒ができ上がり、それが瓶詰めされていくのだそう。そんなことができるのかと、少し驚きでした。

また、今回は酒米の生産者さんも参加され、生産環境のお話や最近の気候変動による米作りの難しさ、今季の米作りへの豊富など、現場の生の声を直接伺いました。このお話には高橋先生も興味津々のご様子。

愛感謝。酒造りの現場へ。

「今日も現場は酒造りが行われていますので、蔵人たちが働いていますが…」と案内してくださったのは、酒を仕込んだ大量のタンクがある部屋。今は温度管理をコンピューター制御で行うこともできるけれども、それだけではなく「もろみの表情を毎日見て、データだけではない酒造り」もやっぱり大切にしているのだそう。

また、もう一つ興味深い話が。
一つひとつのタンクには「愛 感謝」と書かれた紙がタンクに向けて貼られていました。これは、おいしい酒を醸すための一つのおまじないのようなものなのだそう(昨年までは下の写真のように表向きだったそうですが、今年からはタンクに向けて貼るようになったそう)。
蔵人たちが、酒造りをとりまく環境の有難さに感謝を捧げながら酒作りを行うための社長さんからの一つの教えであり、大信州の酒造りのモットーなのだそう。

わたしたちの酒造りは、とりまく環境の有難さに感謝を捧げながら造る「愛感謝」の仕込みです。

—大信州酒造のウェブサイトより

「愛」や「感謝」という言葉は、水の結晶を美しい形に変化させると、以前、高橋先生のブログにて書かれていましたが、言葉のエネルギーもまた、酒を美味しくしているのかもしれません。
余談ですが「水からの伝言」の著者:江本 勝さんもここを訪れたのだとか。

いよいよ、舟迫詰め!

蔵見学の後、いよいよ搾りたての日本酒を瓶に詰めます。
お酒からは、フレッシュな良い香り。ぜんこうじやの店主仁科さんによると、今回のイベント用に選ばれたお酒は極力ストレスをかけないよう、搾ったお酒の移動は一度だけになっており、オリ下げもせず自然落下で瓶詰め出来るように導線が引かれているそう。

私たちが詰めたお酒は数日で私たちの手元に来るそうで、「ガス感が多めでピッチピチのお酒が詰まってきますよ」とのこと。(お酒が好きな編集部も楽しみが止まらずワクワク♪)

手元に届いたら、またレポートしますのでお楽しみに。

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